Knowledge OS Product Design System

Phase 9
Accessibility & Quality Assurance

Knowledge OSを、高齢者、視力の低い人、キーボード利用者、 小型画面や拡大表示を使う人にも扱える製品にするための、 アクセシビリティと品質保証の実装・検査ガイドラインです。

DOCUMENT Knowledge OS Design Principles v1.0.0
PHASE Phase 9 — Accessibility & QA
TARGET Cursor / Codex / Human Review

Introduction

「動く」だけでは、完成ではありません

ビルドが成功し、ボタンを押せるだけでは、 Knowledge OSの画面は完成ではありません。

文字を拡大すると切れる、Tabキーで移動できない、 150%表示でボタンが隠れる、資料が1000件あると画面が固まる。 こうした問題は、実際の業務では機能不良と同じです。

アクセシビリティは追加対応ではなく、基本品質です。 高齢者や操作に不慣れな人が使えない画面は、 Knowledge OSの完成基準を満たしません。

この章で定義するもの

  1. 品質保証の原則
  2. 文字・操作領域
  3. キーボード操作
  4. フォーカスとTab順序
  5. スクリーンリーダー
  6. ダイアログ
  7. 色覚とコントラスト
  8. 拡大表示・画面サイズ
  9. 文字切れ・長い名称
  10. 件数別テスト
  11. 状態別テスト
  12. 高齢者による確認
  13. Cursor・Codex必須確認
  14. 品質ゲート

01 — Quality Principles

1アクセシビリティと品質保証の原則

1. 読める

文字が小さすぎず、拡大しても切れず、十分なコントラストがあります。

2. 操作できる

マウスだけでなく、キーボードでも主要操作を完了できます。

3. 現在位置が分かる

フォーカス、選択状態、現在の画面が視覚的に分かります。

4. 説明を受け取れる

スクリーンリーダーでも、ラベルと状態を理解できます。

5. 失敗から戻れる

エラー時に、元データを失わず復旧できます。

6. 件数が増えても使える

0件、1件、1000件でも、画面と操作が破綻しません。

品質レベル

レベル 意味 扱い
必須 満たさない場合はリリース不可 文字サイズ、キーボード、フォーカス、ビルドなど
標準 原則として満たす 読み上げ改善、件数別最適化など
改善 継続的に向上する 高齢者テストの拡充など

02 — Typography & Touch Targets

2文字サイズと操作領域

文字サイズ

用途 最低サイズ 標準
本文 16px 16〜17px
補助文字 14px 14px
最小文字 13px 例外的なメタ情報のみ
ボタン 15px 15〜16px
入力欄 16px 16px

操作領域

見た目のアイコンサイズと操作領域は別です 20pxのアイコンを使う場合でも、クリック領域は44px以上にします。

禁止事項

03 — Keyboard Navigation

3キーボード操作とTab順序

必須操作

Tab順序

Tab順序は、画面の視覚的な読み順と一致させます。

  1. グローバルナビゲーション
  2. ページタイトル付近の主要操作
  3. 検索・入力欄
  4. メインコンテンツ
  5. 補助操作
  6. ページ下部の操作

禁止するTab設計

主要画面の確認

画面 キーボードで完了すべき操作
資料一覧 検索、絞り込み、資料を開く
資料追加 ファイル選択、登録、キャンセル
AIに聞く 質問入力、送信、根拠資料を開く
設定 項目変更、保存、接続確認

04 — Focus Visibility

4フォーカス表示

標準

:focus-visible {
  outline: 3px solid var(--color-primary-600);
  outline-offset: 2px;
}

フォーカスを消してはいけない

良い例

ボタンの外側に青いフォーカスリングが表示される。

悪い例

outline: none;だけを指定し、代替表示がない。

画面遷移後のフォーカス

05 — Screen Reader

5スクリーンリーダーとaria属性

基本ルール

aria-labelの例

<button aria-label="資料を削除">
  <Trash2 aria-hidden="true" />
</button>

読み上げるべき状態

状態 読み上げ例
保存完了 変更を保存しました
入力エラー 2件の入力内容を確認してください
処理開始 資料の登録を開始しました
処理終了 3件の資料を登録しました

禁止事項

06 — Dialog Accessibility

6ダイアログのアクセシビリティ

必須要件

フォーカス初期位置

種類 初期フォーカス
確認 キャンセルまたは安全な操作
入力 最初の入力欄
エラー 見出しまたは解決操作
削除 キャンセル
削除ボタンへ自動フォーカスしない 誤操作防止のため、破壊的操作を初期フォーカスにしません。

07 — Color & Contrast

7色覚への配慮とコントラスト

コントラスト基準

対象 基準
通常文字 4.5:1以上
大きな文字 3:1以上
入力欄・境界線・フォーカス 背景に対して3:1以上を目安

色だけで伝えない

色覚確認

薄い文字は、上品ではなく読みにくい 補助文字でも、背景との区別が難しい色は使用しません。

08 — Zoom & Screen Size

8拡大表示と画面サイズ

必須確認環境

環境 確認内容
Windows 100% 標準表示
Windows 125% 文字切れ、ボタン重なり
Windows 150% 主要操作が隠れないこと
1366×768 小型ノートPCでの表示
1920×1080 標準デスクトップ

150%表示で確認すること

1366×768での確認

画面を収めるために文字や操作を小さくしない 列数を減らす、折りたたむ、縦並びにする方法を優先します。

09 — Text Overflow

9文字切れ・長い日本語・長いファイル名

長いファイル名

実際の業務では、氏名、案件名、日付、文書種類を含む長いファイル名が使われます。

テスト文字列

2026年7月12日_株式会社サンプル沖縄支店_
相続手続きに関するご案内および必要書類一覧_最終確認版.pdf

長い日本語文言

横スクロール

10 — Volume Testing

100件・1件・1000件の確認

0件

1件

1000件

推奨追加件数

件数 確認目的
10件 通常一覧
50件 ページング
1000件 性能・検索・大量選択

11 — State & Recovery Testing

11Empty・Loading・Error・復旧確認

必須状態

Empty State

データなし、検索結果なし、履歴なしを分けて確認します。

Loading State

処理内容、進捗、中止可否を確認します。

Error State

原因、影響、解決方法を確認します。

エラー時の復旧確認

障害シナリオ

障害 確認すること
Local AI停止 資料閲覧と通常検索を継続できる
ネットワーク切断 ローカル機能を継続できる
APIキー無効 設定画面への案内がある
保存先なし 元資料を失わず再設定できる
OCR失敗 元資料を閲覧できる

12 — Senior Usability Review

12高齢者による操作確認

自動テストや開発者確認だけでは、 「説明しなくても使えるか」は判断できません。

確認対象

確認タスク

  1. 資料を1件追加する
  2. 追加した資料を探す
  3. 資料を開く
  4. AIに質問する
  5. 根拠資料を確認する
  6. エラーから戻る

観察すること

操作できなかった理由を利用者の責任にしない 「慣れていないから」ではなく、画面上の手がかり不足として記録します。

13 — Cursor & Codex Checks

13Cursor・Codex必須確認

必須コマンド

npm run build
cargo build
npm run type-check
npm run lint

プロジェクトの実際のスクリプト名が異なる場合は、 package.jsonとCargo.tomlを確認し、同等の検査を実行します。

Cursor必須確認

Codex必須確認

完了報告

【実行した確認】
- npm run build
- cargo build
- 型チェック
- lint
- 主要画面表示
- キーボード操作
- Empty / Loading / Error
- Windows 150%
- 1366×768
- 長い日本語文言
- 0件 / 1件 / 1000件

【結果】
成功 / 失敗 / 未確認

【未確認項目】
理由と今後の対応

14 — Quality Gates

14品質ゲート

リリース不可条件

条件付きリリース

軽微な改善項目を残してリリースする場合は、 次の条件をすべて満たします。

品質判定

判定 条件
合格 必須項目をすべて満たす
条件付き合格 主要操作へ影響しない改善項目のみ残る
不合格 リリース不可条件に1つでも該当する

15 — Review Checklist

アクセシビリティ・品質保証チェックリスト

文字・表示

操作

読み上げ

環境

データ・状態

利用者が見える、読める、操作できる、失敗から戻れること。 これがKnowledge OSの品質保証における最低条件です。

Definition of Done

Phase 9の完成条件

完成の定義 開発者の環境だけで動くのではなく、 実際の利用者・表示倍率・画面サイズ・データ件数でも 安定して利用できる状態になったときに完成とします。

Closing

使えない理由を、製品側から減らす

利用者が操作できないとき、 それを年齢、経験、慣れの問題にしてはいけません。

文字が読めること、フォーカスが見えること、 キーボードで移動できること、失敗しても戻れることは、 すべて製品側が担保すべき品質です。

文字は16px以上。
操作領域は44px以上。
Tabで移動できる。
フォーカスが見える。
150%でも崩れない。
1000件でも止まらない。
失敗しても戻れる。

最終原則

  1. アクセシビリティを基本品質として扱う。
  2. 文字と操作を小さくしない。
  3. キーボードだけでも操作できるようにする。
  4. 現在位置を常に分かるようにする。
  5. 読み上げ可能な構造にする。
  6. 拡大表示と小型画面で確認する。
  7. 長い文言と大量データで確認する。
  8. エラー時の復旧を確認する。
  9. AIの完了報告だけで合格としない。
  10. 実際の利用者による確認を行う。