Knowledge OS Product Design System
Phase 10
Governance & Maintenance
Knowledge OS Design Principlesを継続的に維持し、
誰が、どのように変更し、どの版を開発者やAIへ渡すかを定義する
ガバナンス・保守運用ガイドラインです。
Introduction
デザインシステムは、更新され続けて初めて機能する
Design Principlesを一度作成しても、
新機能、画面改修、AIによる実装、例外対応が積み重なると、
少しずつルールと実装の差が広がります。
新しい色が画面へ直接追加される。
同じ役割のカードが別名で増える。
仕様書と実装が違うまま放置される。
こうした小さな差が、製品全体の一貫性を壊します。
Design Principlesは、参考資料ではなく製品仕様です。
実装・ヘルプ・AI向け指示・スクリーンショットは、
同じ版を基準として更新します。
この章で定義するもの
- ガバナンスの原則
- 管理責任者と役割
- バージョン番号
- 変更履歴
- 追加・変更・廃止
- 新規コンポーネント承認
- 例外管理
- 非推奨・廃止予定UI
- AIへの読み込ませ方
- 設計書と実装の差異
- スクリーンショット・ヘルプ更新
- リリース前チェック
- Design System監査
- 四半期見直し
01 — Governance Principles
1ガバナンスの原則
1. 正式版を一つにする
複数のDesign Principlesを並行運用しません。
2. 変更理由を残す
見た目の好みではなく、課題と判断理由を記録します。
3. 実装と設計を同期する
どちらか一方だけを変更して放置しません。
4. 例外を通常ルールにしない
例外には期限、対象、理由、解消条件を設定します。
5. 廃止は段階的に行う
非推奨、移行、削除の順で進めます。
6. AIへ同じ版を渡す
Cursor、Claude、Codexが異なる版を参照しないようにします。
最上位ルール
新しい色を追加する場合
画面内で直接定義せず、Phase 3のDesign Tokenへ追加します。
新しい共通コンポーネントを作成した場合
Phase 3とコンポーネント一覧を同時に更新します。
仕様書と実装が異なる場合
実装を正として放置せず、どちらを修正するかを決定し、差異を解消します。
02 — Ownership
2管理責任者と役割
Design Principles管理者
Knowledge OS Design Principlesには、必ず1名以上の管理責任者を設定します。
Product Owner
製品思想、利用者価値、最終判断を担当します。
Design System Owner
Design Principles、Design Token、共通コンポーネントを管理します。
Technical Owner
実装影響、移行、互換性、テストを確認します。
主な責任
| 作業 |
責任者 |
確認者 |
| 製品原則の変更 |
Product Owner |
Design System Owner |
| UIルール変更 |
Design System Owner |
Technical Owner |
| 共通コンポーネント追加 |
Design System Owner |
Technical Owner |
| 実装移行 |
Technical Owner |
Design System Owner |
| リリース承認 |
Product Owner |
各担当者 |
小規模体制の場合
1人が複数の役割を兼任しても構いません。
ただし、役割ごとの確認項目は省略しません。
03 — Versioning
3バージョン番号
形式
MAJOR.MINOR.PATCH
例:
1.0.0
1.1.0
1.1.1
2.0.0
| 区分 |
変更内容 |
例 |
| MAJOR |
互換性のない大きな変更 |
画面構造や製品原則の全面変更 |
| MINOR |
互換性を保つ機能・ルール追加 |
新コンポーネント追加 |
| PATCH |
誤記修正・小さな明確化 |
文言修正、例の追加 |
文書状態
Draft
草案
検討中。実装基準には使用しません。
Review
確認中
レビュー中。限定的な試行のみ可能です。
Current
正式版
開発・AI・リリースの基準です。
Archived
旧版
履歴用。新規実装には使用しません。
版の表示場所
- 文書表紙
- ファイル名
- 変更履歴
- AI向け指示テンプレート
- リリース記録
04 — Change Log
4変更履歴
変更履歴に必要な項目
| 項目 |
内容 |
| バージョン |
1.1.0 |
| 変更日 |
2026年7月12日 |
| 変更者 |
担当者名 |
| 対象章 |
Phase 3 / Button |
| 変更内容 |
Secondary Buttonの境界線を変更 |
| 理由 |
背景との識別性が不足していたため |
| 実装影響 |
AppButton.vueと3画面 |
| 移行期限 |
2026年8月31日 |
変更履歴の粒度
- 意味や実装が変わる変更は必ず記録する。
- 誤字修正もPATCHとして記録する。
- 「修正」「改善」だけで済ませない。
- なぜ変更したかを残す。
変更内容より理由が重要
将来、元へ戻すか判断できるように、背景と課題を記録します。
05 — Change Process
5追加・変更・廃止のルール
標準フロー
1
課題を記録する利用者の困りごと、実装の重複、品質問題を具体的に記録します。
2
既存ルールで解決できるか確認する新しいルールや部品を増やす前に既存資産を確認します。
3
変更案を作成する対象、理由、影響、移行方法を整理します。
4
レビューする製品・デザイン・技術の観点から確認します。
5
Design Principlesと実装を更新する片方だけを変更しません。
6
変更履歴と版を更新する正式版として公開し、AIへ渡す版を更新します。
廃止の3段階
- 非推奨として明記する
- 新規利用を禁止し、既存利用を移行する
- 利用箇所がなくなった後に削除する
禁止事項
- 実装を先に変更し、設計書を後回しにする
- 影響調査なしで共通部品を変更する
- 移行計画なしで既存部品を削除する
- AIの提案だけを理由にルールを追加する
06 — New Component Approval
6新規コンポーネントの承認条件
承認条件
- 既存コンポーネントでは解決できない
- 2画面以上で再利用する可能性がある
- 役割と責務が1つに絞られている
- 状態・サイズ・アクセシビリティが定義されている
- Phase 3のDesign Tokenのみを使用する
- Lucide Iconsを使用する
- 使用例と禁止例がある
- テストがある
申請に必要な情報
| 項目 |
内容 |
| 名称 |
DocumentStatusCard |
| 目的 |
資料状態と次の操作を表示する |
| 既存部品との差 |
AppCardでは状態操作を統一できない |
| 利用予定画面 |
資料一覧、資料詳細、ホーム |
| 状態 |
通常、要確認、失敗、処理中 |
| 移行対象 |
既存の3種類の状態カード |
1画面だけで使う部品
画面固有コンポーネントとして作成し、共通コンポーネントへ早すぎる昇格をさせません。
07 — Exceptions
7例外を認める条件
Design Principlesから外れる必要がある場合は、
例外申請として記録します。
例外を認められる条件
- 法令・契約・外部仕様への対応が必要
- 既存業務を停止できない
- 技術的制約で直ちに準拠できない
- 利用者検証により標準ルールが適さないと分かった
例外申請に必要な情報
| 項目 |
内容 |
| 対象 |
画面・部品・文言 |
| 外れるルール |
Phase 3 / Card Padding 24px |
| 理由 |
外部埋め込み領域の制約 |
| 影響 |
利用者・実装・保守への影響 |
| 期限 |
2026年9月30日まで |
| 解消条件 |
外部仕様変更後に標準へ戻す |
期限のない例外は禁止
例外は恒久ルールではありません。期限と見直し日を必ず設定します。
08 — Deprecation
8非推奨コンポーネントと廃止予定UI
非推奨一覧に必要な情報
| 項目 |
例 |
| 旧名称 |
LegacyDocumentTable |
| 状態 |
非推奨 |
| 代替 |
DocumentList |
| 新規利用 |
禁止 |
| 移行期限 |
2026年10月31日 |
| 削除予定版 |
2.0.0 |
廃止予定UIの例
- Bootstrap Tableを使った旧資料一覧
- 英語見出しを含む旧設定画面
- Bootstrap Icons(bi-robotなどのbi-*クラス)。新規利用は禁止し、対象画面の改修時にLucide Iconsへ移行する(bi-robot → Bot / MessageCircleQuestionなど用途別に置換)
- Lucide以外のその他の旧アイコン
- 画面ごとに独自実装された旧ダイアログ
- 色だけで状態を示す旧バッジ
移行ルール
- 新規実装で使用しない。
- 既存利用箇所を一覧化する。
- 代替部品へ段階的に移行する。
- 利用箇所が0件になったことを確認する。
- コード・設計書・ヘルプから削除する。
09 — AI Distribution
9Cursor・Claude・Codexへの読み込ませ方
正式版の渡し方
- Current状態の最新版だけを渡す
- バージョン番号をプロンプトに明記する
- 対象タスクに必要な章を指定する
- 変更履歴を必要に応じて添付する
- 旧版を参照しないよう明記する
共通プロンプト
Knowledge OS Design Principles v1.0.0の正式版に従ってください。
参照対象:
- Phase 3:UI Design System
- Phase 4:Screen Guidelines
- Phase 5:AI Development Rules
- Phase 6:Content Design & Terminology
- Phase 7:Trust, Privacy & AI Safety
- Phase 8:States, Permissions & Failure
- Phase 9:Accessibility & Quality Assurance
- Phase 10:Governance & Maintenance
旧版、過去のスクリーンショット、非推奨コンポーネントを
新規実装の根拠にしないでください。
AIごとの参照範囲
| AI |
必須章 |
| Cursor |
Phase 3、4、5、8、9、10 |
| Claude |
Phase 1、2、5、6、7、10 |
| Codex |
Phase 3、5、8、9、10 |
AIへ全章を渡すだけでは不十分
対象画面、参照章、維持する既存機能、禁止事項をタスクごとに指定します。
10 — Spec vs Implementation
10設計書と実装が異なる場合
差異の扱い
設計書と実装に差が見つかった場合は、
次のどちらかを正式に決定します。
設計書を正とする
実装が誤っている場合は、実装を修正します。
実装を新仕様とする
実装が利用者検証で優れている場合は、承認後に設計書を更新します。
差異解消フロー
- 差異を記録する。
- なぜ差が生じたか確認する。
- 利用者・業務・技術への影響を評価する。
- どちらを正とするか決定する。
- 設計書・実装・テスト・ヘルプを更新する。
- 変更履歴へ記録する。
禁止事項
- 「実装が動いているから正しい」と判断する
- 設計書だけを更新し、実装を放置する
- 差異を既知の問題として無期限に残す
- AIが変更した内容を確認せず新仕様とする
11 — Documentation Sync
11スクリーンショット・ヘルプ更新
更新が必要な条件
- 画面レイアウトが変わった
- ボタン名が変わった
- 操作手順が変わった
- 状態表示が変わった
- 設定項目が追加・削除された
- エラー対応方法が変わった
スクリーンショット更新ルール
- 正式版の画面だけを使用する。
- 個人情報や実データを含めない。
- 表示倍率と画面サイズを揃える。
- 古い画面画像を同じ記事内に残さない。
- 画像だけでなく説明文も更新する。
ヘルプ更新ルール
- 実装変更と同じタスク内で更新する。
- 実際の画面名・ボタン名と一致させる。
- 旧手順を削除する。
- 検索キーワードを更新する。
- 変更履歴を残す。
ヘルプ更新を後続タスクに分離しない
画面とヘルプがずれる原因になるため、原則として同じ変更単位で完了させます。
12 — Release Check
12リリース前チェック
Design System確認
- 最新版のDesign Principlesを参照している。
- 新しい色がDesign Tokenへ追加されている。
- 新しい共通部品がPhase 3へ追加されている。
- 非推奨部品を新規利用していない。
- 例外が記録されている。
実装確認
- ビルドが成功している。
- 型チェックとlintが成功している。
- 主要画面を確認している。
- Empty、Loading、Errorを確認している。
- アクセシビリティ確認が完了している。
文書確認
- Design Principlesを必要に応じて更新した。
- 変更履歴を更新した。
- ヘルプを更新した。
- スクリーンショットを更新した。
- AI向けテンプレートの版を更新した。
リリース記録
【Design Principles Version】
1.1.0
【変更した章】
Phase 3 / Phase 4 / Phase 6
【追加した共通コンポーネント】
DocumentStatusCard
【非推奨化した部品】
LegacyDocumentTable
【例外】
なし
【ヘルプ更新】
完了
【スクリーンショット更新】
完了
13 — Design System Audit
13Design System監査
監査対象
- 色・余白・文字サイズ
- ボタン・カード・ダイアログ
- Lucide Icons
- 日本語文言
- 状態表示
- アクセシビリティ
- 非推奨部品の残存
- 設計書と実装の差異
監査方法
| 方法 |
確認内容 |
| コード検索 |
独自色、Bootstrap、旧アイコン、英語文言 |
| 画面確認 |
余白、状態、画面間の一貫性 |
| コンポーネント一覧 |
重複部品、未使用部品 |
| 文書比較 |
Design Principlesと実装の差異 |
| 利用者確認 |
迷いやすい操作、理解できない文言 |
監査結果
- 問題箇所
- 影響範囲
- 優先度
- 修正担当
- 修正期限
- 再確認日
14 — Quarterly Review
14四半期ごとの見直し
見直し項目
- 新しく増えた画面・機能を確認する。
- 重複コンポーネントを確認する。
- 例外の期限を確認する。
- 非推奨部品の移行状況を確認する。
- 利用者からの問い合わせを確認する。
- アクセシビリティ問題を確認する。
- AIによる実装のばらつきを確認する。
- ヘルプと画面の差異を確認する。
見直し結果の分類
維持
現在のルールを継続します。
改善
互換性を保ちながら更新します。
再設計
原則や構造を見直します。
四半期レビュー記録
【期間】
2026年7月〜9月
【確認した画面】
ホーム、資料、検索、AIに聞く、設定
【主な問題】
状態カードが3種類に重複
【決定】
DocumentStatusCardへ統合
【期限】
2026年10月31日
【Design Principles更新】
Phase 3、Phase 8を更新予定
15 — AI Governance Rules
Cursor・Claude・Codex向けガバナンス指示
共通指示
Knowledge OS Design PrinciplesのCurrent版のみを参照してください。
変更前に確認すること:
- Design Principlesのバージョン
- 対象章
- 既存コンポーネント
- 非推奨コンポーネント
- 既存の例外
- 変更履歴
変更時のルール:
- 新しい色はDesign Tokenへ追加する
- 新しい共通コンポーネントはPhase 3へ追記する
- 既存ルールと異なる実装は例外として記録する
- 設計書と実装のどちらか一方だけを変更しない
- ヘルプとスクリーンショットを同時に更新する
- 非推奨部品を新規利用しない
- 完了報告にDesign Principlesへの影響を書く
完了報告に追加する項目
- 参照したDesign Principlesのバージョン
- 変更した章
- 追加したDesign Token
- 追加・変更した共通コンポーネント
- 非推奨化した部品
- 例外の有無
- ヘルプ更新の有無
- スクリーンショット更新の有無
16 — Review Checklist
ガバナンス・保守チェックリスト
版管理
- 正式版が1つに定まっている。
- バージョン番号が表紙とファイル名にある。
- 旧版がArchivedとして区別されている。
- AIへ渡す版が明確である。
変更管理
- 変更理由が記録されている。
- 影響範囲が確認されている。
- Design Principlesと実装が同時に更新されている。
- 移行期限が設定されている。
コンポーネント
- 既存部品で解決できないことを確認した。
- 新規部品がPhase 3へ追記されている。
- 非推奨部品の代替が定義されている。
- 利用箇所が追跡できる。
文書・ヘルプ
- 変更履歴を更新した。
- スクリーンショットを更新した。
- ヘルプを更新した。
- AI向けプロンプトを更新した。
監査
- 四半期レビューを実施した。
- 例外の期限を確認した。
- 非推奨部品の移行を確認した。
- 設計書と実装の差異を確認した。
ルールを増やすことより、ルールと実装を一致させ続けること。
これがPhase 10の最も重要な目的です。
Definition of Done
Phase 10の完成条件
- Design Principlesの管理責任者が決まっている。
- バージョン規則が決まっている。
- 変更履歴の形式が決まっている。
- 追加・変更・廃止フローが決まっている。
- 新規コンポーネント承認条件がある。
- 例外申請と期限管理がある。
- 非推奨一覧と代替部品が管理されている。
- AIへ渡す正式版が定まっている。
- 設計書と実装の差異解消ルールがある。
- ヘルプ・スクリーンショットの同期ルールがある。
- リリース前チェックがある。
- Design System監査がある。
- 四半期レビューが予定されている。
完成の定義
Design Principlesが最新版として管理され、
実装・ヘルプ・AI向け指示が同じ版へ同期され、
変更と例外を継続的に追跡できる状態になったときに完成とします。
Closing
製品の一貫性は、運用で守る
優れたDesign Principlesを作っても、
更新方法が決まっていなければ、少しずつ使われなくなります。
新しい機能、新しいAI、新しい開発者が加わっても、
同じ製品として成長できるようにすることが、
Governance & Maintenanceの役割です。
正式版は一つ。
変更には理由を残す。
新しい色はTokenへ追加する。
新しい部品はDesign Systemへ登録する。
設計と実装の差を放置しない。
例外には期限を付ける。
四半期ごとに見直す。
最終原則
- Design Principlesを製品仕様として扱う。
- 管理責任者を明確にする。
- 正式版を一つにする。
- 変更理由と影響を残す。
- 設計書と実装を同時に更新する。
- 新規部品を無秩序に増やさない。
- 非推奨と廃止を段階的に管理する。
- AIへ同じ版を渡す。
- ヘルプと画面を同期する。
- 定期監査と四半期見直しを行う。